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第137回『IF I AM』(2/6)

更新日:2014年02月17日

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こんにちは、ブログライターのたまゆかです。

日本の大雪情報、こちらでもたびたび耳にしています。ソチ五輪に湧くなか、首都圏以外の大雪被害の情報が得にくい問題は、大きなメディアを考える上で今回の番組にも関連してきそうです。

番組内容

出演者

MC 菊池遼さん(東北大学大学院)

根本聡一郎さん(NPO法人メディアージ)

録画での出演 志田篤さん(NPO法人昭和横丁代表)

プログラム

川内村の現状

番組録画

第132回『IF I AM』の録画はこちら

川内村の現状

福島県の内陸部に位置する川内村。この村には独特の問題があります。原発の避難区域になったため、人々はいわき市と郡山市に分かれ、家が残っているのに地元を離れざるを得なかったという問題です。

高齢者だけの仮設住宅

この村の問題について知っていくために、まず第132回『IF I AM』(→ブログ)で放送したある動画を見ました。12月に行われた「東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)」の現地会議での、NPO法人昭和横丁代表志田篤さんの話です。NPO法人昭和横丁は、まわりに昭和の人たちしかいないから、ということで名づけられたそう。その由来自体、川内村の現状を物語っています。

川内村での高齢者の生活を伝えるために登壇された志田さんのお話は、次のようなものでした。

仮設住宅の賠償が去年の8月30日で終わり、川内村は帰村宣言を出した。人々が村に帰ってきて、若者は働きに出ているが、仮設に残っている人々もいる。計350世帯ほどの仮設に残っているのは、ほとんどが80過ぎの高齢者である。

高齢者たちの生活を手助けするのに、まず人手が足りない。若者は自分たちの生活を再建するのに手一杯で、行政の職員数も、高齢者の人数に対して圧倒的に足りない。高齢者の中には、人工透析をしている方、障害を持っている方、認知症の方などがおり、行政の手が回らない分、志田さんとそのサポート要員の方々が手助けしているが、とてもヘトヘトである。ぜひサポートが欲しい。

人手だけでなく、資金、物資も足りず、高齢者は「慎ましい生活」を強いられている。もともと川内村は豊かではなく、川内村の家、借り上げアパート、仮設住宅という三重生活になった。賠償も打ち切られているので、生活費は増加した。今(2013年12月現在)はまず米を届けてもらっているが、2回目の試練が来ており、かなり切迫した状況である。

人手、資金、物資不足への支援

この動画を見て、「一番衝撃を受けたのは仮設住宅の年齢。仮設のポイントは家賃が発生しないことで、『元気のある人から出てく』と言われてる。それが一番進んでるのが川内村」と言う根本さんですが、川内村の現状をブログに書いたら、いくつか反応があったそうです。

カナダ在住の日本人の方は、川内村の状況を聞いてはいたが、事実かどうか確証が持てないでいたところ、前回のUstreamの動画を見て本当なのだと知り、支援に踏み切ってくれた。なんとかしたいという問い合わせをいただき、根本さんが何ができるかと考えながら、NPO法人昭和横丁の住所を教えたところ、その住所にAmazonで米を送ってくれた、ということです。

Amazonは、「欲しいものリスト」を公開するとそこに届くというシステムで、震災時に活躍していました。しかし、川内村の方々がAmazonを使うことは難しい。そこで、今回のようなやり方がひとつ出てきますね。

菊池さんは「福島は岩手・宮城と違って、ボランティアが行き届いていない。僕も、東北大からボランティアのバスを運営してたんだけど、原発事故の影響で、大学は福島には行けないと判断したんだよね。そういう団体が多いんじゃないか。阪神淡路大震災のときは、3年後に自殺者が増えてる。同じことが起きるのではと思うと、本当に胸が痛む」と言います。

根本さん「宮城・岩手には外部からの団体が入ってるけど、福島は自助団体がほとんどなんだよね」

菊池さん「その2県には支援が早く入って、現地の方々との絆ができると、結局離れられなくなるんだよね。支援を続ければ続けるほど、その地域に密着する。それ自体は悪いことじゃない。ボランティアって震災から先細りしていくから、今支援する人は誰なのか」

行く人がいなければ自分たちが行くしかない、と二人は番組配信の翌日に、その仮設住宅に行くことになっていました。仮設住宅で必要なものは、米、野菜、防寒具の3点。野菜はもともと自分たちで作っていたが、郡山・いわきでは畑ができないため必要。また仮設住宅が寒いので防寒具が助かるということでした。

明日行く、と根本さんが志田さんに電話したら、また新しい話が聞けたとのこと。

「慎ましい生活」仮設のみならず、村も

電話での志田さんの話によると、人が帰って来ている村の状況も深刻だということです。

現在、帰村率は50パーセント。半分は帰村できているから大丈夫だと志田さん自身思っていたが、そうではなかった。12~1月にはJCNから情報が拡散され、物資が多く集まったが、それを仮設住宅に配っただけではだめ。仮設の人々も、そもそも村とのつながりがある。村から、うちにも支援物資をもらえないかと連絡がきた。半分しか人がいないとできる仕事もできず、店の儲けも少ないので、志田さんが村にも物資を届けに行こうとしている。病院など、福祉サービスも十分でなく、それが不安で帰らない人もいる――

根本さん「物資を運ぶのは外部の人間が出来ることだよね」

菊池さん「他の地域で、物資不足って話は最近聞かない。川内村はかなり特殊な状況」

根本さん「川内村って、アクセスも非常に悪い。村では十分なものを買えないので、いわきか田村の方に行くことになるけど、どっちにしても道が非常に細くて大変。それをお年寄りが運転してかなきゃいけない」

複雑化する住民感情

ここで、ネット上に公開されている、川内村の現状と課題に関する資料を見ました。

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原発事故があったのは双葉郡。原発以外に仕事がないので、受け入れざるを得なかった。発電所のあるところは合併していないのがよくわかります。

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いこいの場であるかわうちの湯と村役場は、原発の半径20km区域に入っていないため、様々な判断ができた。

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距離的には大きくないのに、区域見直しがどうしてこんなに大変なのか。それは、同一自治体で差異が生じるから。一番遠い20~30km圏内の川内と広野では、2013年の夏に賠償(月10万円)が打ち切られている。つまり、同じ20km~30km圏内の中で、また同じ村の中で、状況が分かれているということ。

そこからコミュニティの分断が生じ、住民生活が複雑化する。避難者の中には、賠償で余裕のある生活ができている人々もおり、現地の人々の態度は非常に厳しい。また、川内村から避難している人と、元々いわきに住んでいる人の対立もある。

根本さんは、「じゃあ何ができるかというと、いわきの人が支援物資を持ってったらいいんじゃないか。一人でも行けば、いわきの人がみんな厳しい感情を持ってるわけじゃないのが伝わるし。外部ができることを考えるのも大事だけど、一番大事なのは住み続ける人たちの力だから」という意見です。

菊池さんは「うん、でも外部の人たちがつないであげることもできるはず。支援物資を送ってほしい方は、連絡をくれれば行きます」。

小さいメディアにできること、私たち学生にできること

『IF I AM』では、今度改めて川内村を訪れ、実際の村の様子を見て撮影もし、「今を、声を届ける」予定です。

川内村の様子は大手メディアに取り上げられず、情報を発信しているのは福島民報だけという現状。

福島県に行って双葉郡に入るとき、「原子力明るい未来のエネルギー」という看板が見えます。確かに原発で雇用も増えますが、問題なのは、事故が起きたらその町だけの問題ではないということ。そして、仕事がなくなるということ。状況を根本から変えないと、また同じことが起こってしまいます。

原発があると安心だし、苦労せず生活を続けていけるが、いったん狂うと大変なことになる――原発は麻薬と同じ。学生の私たちが仕事を作り出すことは難しいけれど、情報を発信することはできる。一日を犠牲にして、川内村に行くこともできる。

支援に踏み切ってくださる方へ

2月22日、NPO法人昭和横丁の方々が、川内村に物資を届けるそう。そこで、手伝える方々を22日までに募集したい方針です。ただし、あまり集まりすぎても大変なので、申し出てくださる方からは一度笑顔311(facebookページ / Twitterアカウント @egao311)か根本さん(Twitterアカウント @Nemo_patitur)に連絡をいただきたいということです。何もかも情報を出してしまうと、川内村の側にも問題が出てくるので、連絡をもらったら情報を出す、という形で慎重にいきます。

物資についても、一度笑顔311スタッフで精査させていただく、とのこと。根本さんは、自らの体験から次のように言います。「ある団体で仕分けをずっとしてたんだけど、非常に思うところがあって。ほんとにいろんなものが送られてきて、使い分けの洗剤はまだいいとしても、『いらないもの』って書いてある箱とか。これが直接行ってたらいやだったなと。物資支援の際、本当に心がけてもらいたいのは、自分の家から始めないでほしいということ。相手の家に何が足りないかをまず考えて、そのあとに自分の家を見るべき」

 

配信の翌日、根本さんと菊池さんが郡山と川内村に行って見てきたことは、また番組を組んでお伝えする予定です。川内村から出て仮設住宅に住んでいる方々、帰村している方々、どちらをも支援していくために、ぜひ今後も『IF I AM』で情報をチェックしてくださいね。

第142回『IF I AM』配信時の皆さんのつぶやき

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